奈良がビーナスに勝利!
バリバオープン(アメリカ・インディアンウェルズ)の
女子で、奈良が金星をあげた。本戦三日目、トップハーフの
二回戦のことだった。
出場した日本勢は、四人だったが、二回戦に勝ち上がった
のは奈良くるみだけだった。彼女が、第10シードの
ビーナス・ウィリアムズに6-4、6-3で勝った。
グランドスラムで優勝した経験をもつ元女王に対し、三度目の挑戦だった。
身長差が30センチもあるなか、トップ100の中で一番小柄な
155センチの奈良が勝利をおさめた。圧倒的に、違うリーチが
あるが、強い風が吹いており、そのコンディションが、奈良は、
自分に有利に働くと考えていた。
ビーナスは、「強風の中でサービスを打つのが難しかった。
奈良ほど風に対処できなかった」と。ビーナスの武器の
ファーストサーブの確立は59%だった。それに加えて、
ファーストサーブからのポイント率も51%と不振だった。
奈良は、ビーナスのセカンドサーブを狙った。そこで
プレッシャーをかけて、「入れにくるようなファースト
サーブ」をビーナスに打たせる形をとって勝機を狙った。
それが、功を奏したようだ。
「奈良はすごくいいプレーをした。ウィナーを量産する
わけではなかったが、ミスがなく、安定したボールを
コートのあちこちに散りばめてきた」
35才になったビーナスは、これが、バリバオープンでの
初戦だが、奈良は、予選から4試合している。それを全て
勝っているのだから、そのいきおいも強みになっただろう。
第1セットは、第七ゲームまで、両者はゲームをキープ
していた。夕立のため、約35分の中断があった。再開して
すぐに、奈良は、サービスブレークをされてしまう。
しかし、すぐに、ブレークバックし、続けて2ゲームを
とって、6-4でセットをとった。
15年前に、ここであった、ウィリアムズ一家ブーイング事件
以来、出場を拒否し続けた、元女王の大会復帰戦は、
昨年大会復帰したセレナほど注目されてはいなかった
ものの、特別な意味を持った試合だった。
「あれだけアウェーの中の試合は初めて」
それでも、奈良は攻めて、第二セットは、お互いにブレークを
しあった。
普段のプレーが影をひそめたビーナスに対し、少しリードしても、
中々おおきなリードは奪えなかったが、5-3で向かえた、
サービング・フォー・ザ・マッチ。二本目のマッチポイントで、
フォアハンドの逆クロスのショットで勝利を手繰り寄せた。
35才になった、ビーナスに、かつて程の力がないというのは、
否定できない。しかし、昨年秋には、プレミア大会の
武漢で優勝している。世界ランク12位というのは、奈良の
いままでの戦歴の中では、最高ランクの相手だった。
一昨年に、北京で勝ったサラ・エラーニも12位だったが、
ビーナス・ウィリアムズという名前の大きさは、今の
世界ランクでは言い知れない。
優勝したのが2000年。世界ランクのトップに初めてなった
のが、2002年。この頃、奈良は、小学生で天才少女と
呼ばれていた。
奈良にとっては、テレビで見ていた大きな存在からの
金星。
英語での会見では、「雨が降っていたから、ギャラリーが
帰ってしまったのがよかった」とコメントし、笑いを誘ったが、
これで、終わりではないから、控えめに喜んだ。
三回戦も格上の相手に挑む。世界37位の、バーボラ・ストリコバーだ。